かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「ありがたい話ですが、しばらくは葉月とふたりの生活を楽しませてください」
「あら、そう。残念。でも赤ちゃんが生まれたら毎日でも会いたいし、いずれは考えておいてね」
「葉月と相談します」
いきなり話を振られて、どぎまぎしてしまう。瑞希さんが言う通りしばらくはふたりがいいけれど、このご両親と一緒なら同居も悪くない。
シフォンケーキを食べ終わると、瑞希さんのご実家を出て帰宅の途につく。別れ際のお母様の様子を思い出すと、またすぐに会うことになりそうだ。
翌月の八月。もうすぐ盆休みだという頃に、瑞希さんが臨時の名古屋勤務から戻ってきた。もうなにも隠す必要はないと、人事部の人たちに瑞希さんとの婚約を報告。
寝耳に水のことにみんな驚いていたが、私のことを一番心配していてくれていた杏奈は、涙を流して喜んでくれた。
産休に入るまでよろしくお願いしますと伝えると、和田副部長をはじめ人事課の仲間が快くオッケーを出してくれて、こんな素敵な人たちと仕事ができることに感謝の気持ちが溢れた。