かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
私の目を真っすぐ見つめる遊佐部長の瞳は、嘘を語っているようには見えない。でもだからといって、なにをしてもいいというわけじゃない。
「信じるか信じないかは、葉月、おまえの自由だけどな」
耳元に顔を寄せられ、甘い声で囁かれる。葉月と名前を呼ばれた途端、なんとも言えない羞恥心に襲われて遊佐部長から離れようと彼の身体を押した。少し離れたすきに立ち上がり、でも慌てすぎてバランスを崩すと転びそうになってその身体を遊佐部長に抱きとめられた。
ギュッと抱き寄せられて驚きで顔を上げると、無防備だった唇に彼の唇が重なる。初めてのことで、これが“キス”度と気づくのに数秒かかった。
それは間違いなく遊佐部長の唇で、ただ優しく触れているだけ。突然のことになにが起こっているのかわからず、じっとしていることしかできない。
軽く触れていただけの唇が離れると、至近距離で遊佐部長がニヤッと笑って見せた。
なんでキスなんてしたの?
キスって恋人同士じゃなくてもしていいの?
どうして私なの?
いろんな疑問が頭の中に浮かび気持ちはいっぱいいっぱいで、息が詰まりそうだ。