かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
 
 土曜日の朝。約束の時間より、かなり早く目が覚めた。もう一度寝ようと目を閉じても、気持ちが高ぶって眠れそうにない。
 
 遊佐部長とデート……。
 
 想像してみても、デートどころか男の人とふたりで出かけるなんて、父親としかしたことがない。

 遊佐部長からメールが来てから考えていたことと言えば、今日のデートのことばかり。

 デートってどんな格好をしていけばいいのか、なにが必要なのか、考えれば考えるほど悩みは深くなっていく。

 こんなことなら昨日の仕事帰りにでも、新しい服を買っておくべきだったかなぁ。

 やっぱり今日は女の子らしく、スカートかワンピースがいいのだろうか。だったら靴は、パンプス? それともカジュアルにスニーカー?

 杏奈に連絡したいところだけれど、デートするなんて言ったら冷やかされるだけ。相手が遊佐部長だと話すわけにもいかないし、ここは自分で決めるしかなさそうだ。
 
 胸躍るような期待、でもそれ以上の緊張と不安。
 
 生まれて初めてのデートは、前途多難な一日になりそうだ。



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