かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる

 遊佐部長は席に着き、コーヒーを飲む。ふぅと一息ついてから私に目を向けた。

「どこか行きたいところはあるか?」
「え? 行きたいところって、それはデートでということでしょうか?」
「それ以外になにがあるって言いたいんだ?」
 
 確かに、遊佐部長が言うことはごもっとも。けれど男の人とふたりだけで会うのもデートも、なにもかもが初めてなのだ。それに遊佐部長と一緒となると、適当なことは言えない。
 
 世間一般のデートというのは、どこへ行くのが定番なんだろう。
 
 映画館、それともショッピング? 美術館や遊園地なんていうのもいいのかも。
 
 でも結局なにが正解なのかわからなくて、考えれば考えるほどドツボにハマっていって答えることができない。

「すみません。正直な話、デートはおろか男性とお付き合いしたこともなくて……」
「そうだろうな。葉月を見てればわかる。だから今日のデートプランは俺が考えておいた」
「考えてって……。だったら最初から、そう言ってくれればよかったじゃないですか」
 
 そう怒った態度を見せて、そっぽを向いた。

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