かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
迎えに行くと言っていた通り、遊佐部長は車で来ていた。ラグジュアリーなディープブルーのSUVは、大人な彼のイメージにピッタリの車だ。
「どうぞ。乗って」
遊佐部長はさり気なく、助手席のドアを開けた。
「すみません」
慣れない扱いに緊張しているせいか、例のごとく謝りの言葉が出てしまい、それを聞いた遊佐部長がため息をつく。
「五回目」
「え?」
「葉月の口から出た、“すみません”の回数。別に悪いことをしているんじゃないんだ、“すみません”じゃなくて“ありがとう”と言ってほしいな?」
そう言って遊佐部長は、助手席に座りかけた私の顔を覗き込む。ぐっと距離が近くなって、思わず息を止めた。でも長くは続かず苦しくなって息を吐くと、遊佐部長に笑われて口を尖らせた。
次の瞬間、チュッと音を立てて軽く唇が触れる。
「煽るような顔をした葉月が悪い」
悪ぶりもせず、遊佐部長が至近距離でニヤリと笑った。急なことになにが起こったのかわからず、唖然として彼の顔をじっと見つめる。