かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
だからといってはなんだけれど、遊佐部長のことがずっと気になっていた。それは上司としてであって、恋とか愛とかそのたぐいのものではない。それは憧れにも似た気持ちだとずっと思っていた。
でも同期入社で今では親友と呼べる仲の森野杏奈は、『それは紛れもなく恋』と言い放つ。そう言われても遊佐部長に対する気持ちが恋なのか、恋そのものがわからないのだからいまいちピンとこない。けどやっぱり気になって、彼のことを目で追ってしまうから納得せざるを得ないのだ。
遊佐部長には私が入社した当時から『新しい彼女はスーパーモデルらしい』とか『美人な婚約者がいる』と、どんな時も女性のうわさが絶えなかった。
最近も『同じ日に違う女性と街中を仲睦まじく歩いていた』と、受付嬢の人たちが化粧室で話しているのを耳にしたばかりだ。
その話は杏奈も一緒に聞いていて『だから言ったでしょ。部長とは歳も違いすぎるし、葉月には似合わない相手なの』だから諦めろと言われたのがちょうど三日前。