かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
途端に遊佐さんの隣にいることが恥ずかしくなって、繋いでいる手を緩める。それに気づいた彼が足を止めた。
「なあ葉月。あそこに座らないか?」
遊佐さんがそう言って指をさしたのは、巨大な水槽の前にあるアーチ状の段々になったスペース。そこの一番後ろに連れていかれ、遊佐さんから少し離れて腰を下ろした。
「なんで離れて座る?」
「特に理由はないです」
ただ、遊佐さんの隣に自分は似合わない。私が一緒にいたら遊佐さんの株が下がるというか、申し訳ないと思っただけ。
だから離れて座ったというのに、遊佐さんは私のそんな気持ちを知ってから知らずかグッと距離を縮めた。肩が触れ合う近さにもう一度身体を離そうとしたら、腰に回されたたくましい腕に阻まれてしまう。
「遊佐さん、離して──」
「離れようとする葉月が悪い。だから、それは難しいな」
遊佐さんはよくわからない屁理屈を言って、抱き寄せている腕の力を強めた。彼にもたれかかるような体勢になって胸の鼓動が速くなる。