かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
それでも念を押すようにもう一度「遊佐さんの隣に私はふさわしくありません」と言って顔を上げると、彼の呆れたような表情が目に映る。
あぁ、やっぱりあんなこと言うんじゃなかった。でもこれで、遊佐さんも目が覚めただろう。こんな冴えない彼女なんてこっちから願い下げ、好きなんて気持ちは間違いだったと。
これでよかったんだと思うのに、何故か目に涙が浮かぶ。堪えようと目を閉じると、その涙が目尻から溢れた。
「ねえ葉月。そう思っているのは、おまえだけだ」
遊佐さんは右腕をゆっくり上げて、私の左頬に触れた。さっきまでの呆れ顔は見る影もなく、柔らかに微笑んでいる。
「自分に自信がないのを今すぐに治せとは言わない。でも俺はさっきも言ったとおり、葉月のことを地味だとは思っていない。子供っぽいところも、俺にとってはかわいいと思う重要なポイントだ」
頬に触れていた遊佐さんの手が私の髪を掻き分けながら後頭部に回し入れられ、ゆっくりと引き寄せられる。そのままポスンと彼の胸に抱きとめられた。