かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「どうすればと言われましても……。だって遊佐部長ですよ? 専務もしていて次期社長と噂されるような人が、私を好きになるなんてありえないです」
「そうはいっても、葉月が好きだからしょうがないだろう。でも俺は葉月よりずいぶんと大人だからな、あまり余裕がない」
余裕? なにに対して余裕がないとい言いたいの?
遊佐さんはそう苦笑交じりに話し、私の頬をぷにぷにと触った。
「そんな深刻な顔をするな。大人だから、いろいろ考えて行動してるってこと。勢い任せで葉月をどうこうするつもりはないから安心しろ」
「勢い任せでどうこうって……」
なんのことを言っているのかわからなくて小首を傾げると、またしても苦笑いされてしまった。
「大事にしたいんだ、葉月のこと」
耳元に顔を寄せた遊佐さんが、甘い声でささやく。吐息が首筋に触れてくすぐったい。
これは本当の本当に、遊佐さんは私のことが“好き”ということで間違いないのだろうか。彼と真正面に向き合って、潤いのある黒い瞳に真実を窺う。でも遊佐さんはその目をスッと細めると、悪戯っぽい微笑を浮かべた。