かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「そんな可愛い顔で見つめて、俺を煽ってるのか?」
「煽ってるなんてそんなこと……してません」
「じゃあ、なにかを探ってる? どう、俺が嘘をついているように見えるか?」
そう言って俺の目を見ろと言わんばかりに私に近づく遊佐さんの表情は、面白がっているように見えなくもないけれど。真っすぐ私の心まで射抜くような瞳は、嘘を語っているようには見えない。
でもどう言葉にしていいのかわからなくて首を横に振ると、遊佐さんは安心したように大きく息を吐いた。
「悪い。前のときは緊張していて頭が回らず、言葉が足らなかった。葉月、付き合ってほしい。俺の彼女になってくれないか?」
遊佐さんの真剣な告白にふつふつと湧き上がる嬉しさと、生まれて初めて感じる高揚感で胸がいっぱいになる。同時に、確かに好きとは言われたけれど今みたいな言葉はなかったことを思い出す。なんでも卒なくこなす完璧な人だと思っていた遊佐さんでも緊張したり頭が回らなくなることがあるんだと親近感を覚える。
もちろん基本の人間の出来が違うから、そんなことを感じるのも恐れ多いけれど……。
それでもやっぱり彼を近くに感じて、フフッと頬が緩んだ。