かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「なんで笑ってる? 何かおかしなことを言ったか?」
「い、いえ、遊佐さんはなにも。笑ってしまったのは、なんと言ったらいいんでしょうか……嬉しいとか幸せとか、そんな気持ちからだと……」
うまく言葉では表せられないけれど、簡単に言うとそんなところ。
この歳になるまで一度だって、男性から告白されたことがない。だから付き合ってほしいとか彼女になってほしいと言われて、ほんの少し浮かれているのかもしれない。
しかもその相手は遊佐さんなのだ。もしかしたら今までの流れ全部が夢じゃないのかと、自分の頬をつねってみた。強くつねりすぎたのか頬は思った以上に痛くて、これは夢じゃなく現実なのだと痛感する。
「なあ。まさかとは思うがその頬をつねる仕草は、今俺といることが夢かどうか確認しているわけじゃないよな?」
「えっと……まあ、そんなところです」
「マジか?」
遊佐さんはそうひとこと呟き、額に手を当てて天を仰いだ。笑っているのか、その身体はわずかに震えている。
そんな彼を見てさすがに子供じみたことをしてしまったと、後悔のため息をつき目を逸らす。恥ずかしさはピークに達し、今すぐにでもあの巨大水槽の中に飛び込みたいくらいだ。