かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
初めての一夜
 
 館内放送でイルカショーの開催時刻が流れ、その時間までにと遅めの昼食をとることに。お昼の時間はとうに過ぎているからかどの店も空いていて、さほど時間もかからずに食べ終えた。

 ショーまでにはまだ少し時間はあったけれど、遊佐さんが「いい場所で見よう」と言うから早めに移動したのだけれど。

「ここでなら、葉月が好きなイルカがかなり近くで見えるだろう?」
 
 そう言って遊佐さんが据わったのは、イルカがショーをするプールがすぐの一番前の席。

 イルカが目の前を泳いでいくのだから、確かに一番いい場所だ。でも水中で速度をつけて泳いできたイルカがハイジャンプしたりスピンジャンプをしたら、大量の水しぶきを浴びることになるような気がするのは私だけだろうか。

 遊佐さんはわかっているのかいないのか、心配になって遊佐さんを見上げる私に「ん?」と小首を傾げるだけ。私以上にイルカショーが楽しみなようで、子供のように目を輝かせている。
 
 そうはいってもここのプールは高さもあるし、そこまで心配することはないのかもしれない。多少濡れたとしても今日は天気もいいし、すぐに乾くだろう。
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