かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
すぐには無理かもしれないけれど、少しでも遊佐さんに近づけるように。彼に似合う女性に慣れるように、頑張ろうと心に誓う。
「葉月の良いところや可愛いところ云々の話は、またあとでゆっくりと聞かせる。それより、そろそろショーが始まる」
遊佐さんは当たり前のように私の手を握り、身体を寄せた。少しだけもたれかかるような体勢に、彼の身体の重みと一緒に温かさが伝わる。もう始まろうとしているショーに集中したいのに、遊佐さんのことが気になって仕方がない。
でもショーを進行するトレーナーの女性が出てきて大きな音楽が鳴り始めると、遊佐さんのことが気になりつつもイルカの登場に目を奪われた。
「イルカって、思ったより大きいな」
大きい音で曲がかかっているからか、遊佐さんは唇を私の耳元に寄せて話す。彼の吐息が耳に降れて、カッと身体が熱くなった。
ほら葉月、ショーに集中して!
自分で自分に言い聞かせ、イルカの泳ぎに目線を向けたそのとき。
凄いスピードで泳いできたひときわ大きなイルカが、私たちの目の前でハイジャンプをした。その高さは驚くほど。