かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「俺のことなんていい。それよりも葉月、濡れていて悪いがこれを羽織ってくれ」
そう言って肩に掛けられたのは、遊佐さんが着ていたテーラードジャケット。濡れているのは、ふたりとも同じ。それなのになんで遊佐さんはジャケットを私に掛けたのか。
不思議に思い彼を見上げ、首を傾げた。そんな私見て、遊佐さんが顔をしかめる。眉間にしわが寄り、あまり芳しくない表情だ。
「濡れたワンピースが身体に張り付いて、ラインが露になっている。それに……下着も透けて──」
遊佐さんが耳元で、低い声でささやく。
「えぇ!?」
遊佐さんの言葉を途中で遮り、目線を下げると慌てて自分の姿を確認する。遊佐さんが言った通り身体のラインが見えていて、ハッキリとではないもののブラジャーが薄っすら透けている。
嘘でしょ……。
遊佐さんがジャケットを掛けてくれたから丸見えではないけれど、恥ずかしさに身体が震えだし自分の身体を抱きしめるように包み込んだ。遊佐さんも私をかばうように、そっと肩を抱き寄せてくれている。