かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「あ、あの、遊佐さん?」
歩き出してからずっと無言の遊佐さんの態度にいたたまれなくなって、そっと名前を呼んでみる。でも思った通り返事はなく、さらに落ち込む。
ずぶ濡れになってからの記憶を辿ったけれど、彼を不機嫌にさせるような言動はなかったような……。
どんなに考えても結局答えは見つからず、その間に駐車場に到着。遊佐さんは車に近づくとドアノブにタッチして解鍵し、後部座席のドアを開けた。
なんで後部座席?と思っていたら、あれよあれよという間に後部座席に押し込まれ、遊佐さんもそのまま一緒に乗り込んだ。なに?と思う間もなく唇を塞がれた。
「んぐっ……」
慌てたからか、色気もなにもない声が漏れる。思わず彼の背中に回した手に、ギュッと力を込めた。
「悪い。葉月の濡れた姿を見たら、抑えが利かなくなった」
私を抱きしめる、遊佐さんの腕は優しい。突然のことにドキドキしながらも、彼の胸にそっと顔を寄せた。