かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
遊佐瑞希、三十四歳。眉目秀麗、スタイルもセンスも抜群で、杏奈曰く超優良物件。アシタホールディングスの会長の孫で、いずれは社長になることが決まっている。
将来へのレールが敷かれていると疎まれることがほとんどだが、彼は人一倍仕事ができ性格もいいから妬まれるどころか社員から慕われている。女性のうわさは絶えないけれど、独身だからか女性社員からの人気も高い。杏奈に言わせると、私もその中のひとりということになる。
「いつも急ですまない。来週末の予定だったイーラーニング導入向けてのミーティングが、月曜日に早まった。資料はどのくらいまで出来てる?」
そう聞かれて、急いでタブレットで確認する。
「あと残り三分の一といったところですが……」
今日は土曜休みを明日に控えた花の金曜日。まだ余裕があるからと杏奈と食事に行く約束をしていたけれど、これはキャンセルするしかなさそうだ。最悪、明日の土曜日も休日出勤になるかもと、さすがに遊佐部長からの仕事でもため息が漏れそうになる。