かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
今までにしたどのキスよりも、明らかに深く重なる。彼に唇を割られ入ってきた舌の感触に、身体が震える。遊佐さんは戸惑う私をなだめるように背中を撫でてくれ、その優しさと彼のキスに酔いしれた。
どれくらいの時間そうしていたんだろう。最初こそ服がびしょびしょでシートがまで濡れてしまうと気になっていたけれど、今はなにも考えられない。
ようやく話された唇が、麻痺でもしたかのようにジンジンしている。
「ねえ葉月。おまえをそのままにしておくわけにもいかないし、服も洗って乾かしたい。俺のマンションに行くけど、いいか?」
私の耳元で甘く囁き、私の髪をふわりと梳く。遊佐さんの男らしくでもどこか妖艶な低い声に酔わされてしまい、彼の言葉を受け入れるようにそっと頷いた。
「くしゅんっ!」
「やっぱり冷えたな。本当に大丈夫か?」
遊佐さんが私のことを後ろから覗き込み、頬に付いていた髪を指先で掬って耳にかけてくれる。
「だ、大丈夫です。それより……」
遊佐さんから少しでも身体を離そうと試みるが、背中側から私の胸の下に巻き付いている腕に力が込められ、余計に抱きしめられてあえなく失敗。どうしてこんなことになってしまったのかと、ため息が漏れた。