かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
シンプルだが間接照明などで照らされたエントランスは上品な趣があり、観葉植物やソファなどの家具、調度品が優雅な空間を演出している。エントランスと共にライトアップされた外観や通路を眺めながら歩くと、まさにホテルにでもやって来たかのような気分だ。
緊張はいまだ治まらないままエレベーターに乗り込み、到着したのは三階。エレベーターホールに出ると右側へ続く廊下を歩き、突当りの少し手前で歩みを止めた。
遊佐さんはなにも言わないままカードキーで玄関のカギを開け、ドアノブを引く。中には部屋かと思うほどの広い空間が広がっている。
濡れたままピカピカに磨かれた大理石の玄関に足を踏み入れていいものかと躊躇していると、見かねた遊佐さんが私の身体をヒョイと抱き上げた。
「わあぁ、遊佐さん! なにするんですか!?」
「いつまでも玄関先で立ってられたら迷惑だ。すぐに風呂に入るぞ」
「わ、わかりましたから、降ろしてください」
そうお願いしたところでいい返事はもらえず、遊佐さんは私を抱えたままバスルームへと向かう。器用に身体を使ってドアを開けると、大量の湯気に包まれた。浴槽には、湯がなみなみと張っている。