かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「は、初めてで……」
遊佐さんの手をさっと掴み、私の真上まで下りてきた彼の顔を見つめた。
「ああ、わかってる。だから無理強いはしたくない。今ならまだ止められる。このまま先に進むか、葉月に決めてほしい」
真っ黒な聡明な目に見下ろされて、どう答えるべきか心は揺れる。いや、もう答えは決まっていた。一緒にお風呂に入ったんだから当然こうなるだろうと、さすがに経験のない私にでもわかるというもの。
ただ、なんと言えばいいのか……。
困り果て、遊佐さんに助けを乞おうとして開けかけた口を彼に塞がれる。軽く触れただけの唇は、すぐに離された。
「時間切れだ。葉月が欲しい。抱いてもいいか?」
至近距離で見つめられ、その視線の意味するものがわかる。彼の想いまでもが伝わってきて、きゅうっと胸が締め付けられる。
「今夜は帰さない」
「……はい」
私のその答えを待っていたかのように、遊佐さんがチュッと音を立ててキスをする。遊佐さんの熱っぽい目と交わり啄むようなキスを繰り返されると、いつの間にかそのキスにも抵抗がなくなり、身体の力が抜けていく。