かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
 
 そうか、私、すごく緊張していたんだ……。
 
 好きな人でも、自分を全部さらけ出すのには勇気がいる。なにもかもが初めての経験なのだから緊張して当たり前、それはそうなんだろうけれど。
 
 目の前にいるのは、大好きな遊佐さんなのだ。信頼している彼に全部をゆだねておけば、なにも心配することはない。ずっと憧れていた人に好きと言ってもらえて、求められて、こんなに幸せなことはない。

「……本当にいいのか?」
 
 私の緩やかにウェーブした髪を一束すくい、それを指に絡めた。

「遊佐さんこそ、私でいいんですか?」
「今更なにを言う。葉月が欲しいと言っただろう。葉月しかいらない」
「私も……瑞希さんだけです」
 
 恥ずかしくてずっと呼べなかった遊佐さんの名前を、思いきって呼んでみる。彼は驚いたように目を見開き、でも次の瞬間には怒ったような顔をして眉をしかめた。

「葉月……。この状況で名前を呼ぶなんて反則だ。ここで俺を煽ったこと、あとで後悔することになるぞ」
 
 返ってきた言葉に戸惑う私の耳元に、瑞希さんが笑みを浮かべながら顔を寄せる。


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