かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
とはいえ私はなにもかもが初めてのことで、彼に抱かれていただけだったけれど。
瑞希さんとの関係は、一か月前のあの残業の夜に劇的に変わった。自分に自信のない私を瑞希さんは優しく包み込んでくれて、彼に対する自分の気持ちをハッキリと自覚した。
瑞希さんのことが好き──。
彼に愛された今でも、まだ本当の意味で自分自身に自身があるわけではないけれど。瑞希さんの前では、彼が好きだと言ってくれる私でありたい。
この夢のような幸せな時間が現実で、いつまでも続きますように……。
「……夢」
まさかと思うけれど……。
昨日瑞希さんに笑われたというのに、心配になって頬をつねってみる。間違いなく頬は痛みを放ち、これは夢じゃないと教えてくれた。
安心してもう一度、目の前にある瑞希さんの顔を見つめる。早く起きてほしいような、このまま綺麗な寝顔を見ていたいような。
長いまつげに伏せられた綺麗な瞼に触りたくなって、彼へとゆっくり手を伸ばす。そっと触れると瞼がぴくッと反応して、それがなんだか可愛くてクスリと笑いが漏れた。