かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる

「まだ夢だと思ってるのか? いい加減に目を覚ましたらどうだ? なんなら、今からでももう一回、身体にわからせてやろうか?」
「え、それって──」
 
 と問いかけようとした唇を、瑞希さんが素早く塞ぐ。

 私の身体には昨晩の艶事の余韻がまだ残っていて、節々は痛いし身体に力が入らない。それなのにまた昨晩のように抱かれては、自分の身体がどうなってしまうのか……。
 
 今日が日曜日で会社が休みでも、さすがに朝からは体力が持たないと、首を大きく横に振って抵抗する。そんな私の仕草に躊躇したのか、瑞希さんが唇を離したのと同時にくるりと彼に背を向けた。

「葉月……」
 
 後ろから抱え込むように抱きしめられ、瑞希さんが耳元で艶めかしく囁く。一晩中何度も呼ばれた名前なのに、意識がはっきりしているといろいろな記憶が蘇り、恥ずかしいことこの上ない。
 
 なにも言えないまま狼狽えていると、耳たぶに唇が触れる。チュッと音を立てながら食むようにキスされて、フニャリと身体から力が抜けてしまう。


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