かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「初めてだから優しくしようと思っていたが、葉月だがあんまり可愛く啼くから、理性が吹っ飛んで止められなくなった」
「啼くって……。もう本当にやめてください。瑞希さんのことは好きですけど、それとこれとは話が別です」
意地でも振り返るものかと、グッと身体に力を入れる。そんなことをしても結局瑞希さんに負けて身体を反転させられる……そう思っていたのに、何故か瑞希さんはピクリとも動きを見せない。それどころか声さえも聞こえなくなって、部屋がシンと静まってしまった。
な、なに? どうしちゃったっていうの? もしかして私、またなにか言ってはいけないことを言ってしまった?
急に不安に襲われて、身体から力を抜くとゆっくりと振り返ってみる。恐る恐る顔を上げると、どこか上の空だった瑞希さんがハッとして慌てて私と目線を合わせる。
「葉月。今の言葉、もう一度言ってほしい」
瑞希さんは胸の前で私の両手をひしと握り、哀願的な目を私に向けた。
「も、もう一度ですか?」
いつもは堂々とした態度の瑞希さんが、まるで懇願する子犬のような目をしている。そう言われても、なにをもう一度言えばいいのかわからない。