かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
 
 自分がなにを言ったのか、少しだけ時間をさかのぼる。瑞希さんが『もう一度』とお願いするような言葉……。

「あ……」
 
 ひとつだけ思い当たるフレーズがあることに気づき、たぶんこれだろうと心を落ち着かせるように息を吐いた。

「瑞希さんのことは好き……ですけど? で当たってますか?」
 
 そう言って、私が首を傾げた瞬間。瑞希さんが、パッと大輪の花が咲いたような笑顔を見せた。瑞希さんでもこんな表情を見せることがあるんだと、胸の中が温かいもので満たされていく。

「葉月、悪い。もう一度、いいだろうか?」
「はい。もう一度だけじゃなく何度でも。瑞希さんことが好き、大好きです」
 
 まさか自分が“好き”なんて、こんなことを言う日が来るとは思ってもみなかった。しかも調子に乗って、“大好き”とまで言ってしまうとは……。
 
 とんでもなく恥ずかしくなって、隠れる場所を探す。でも瑞希さんに手を握られていては動くこともままならなくて、仕方なくその場にとどまる。


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