かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「俺は何度か”好き”と伝えたけれど、葉月からはまだ言ってもらってなかったからな。やっぱりこうして口にしてもらえると、ヤバい、かなり嬉しい……」
瑞希さんは、ふにゃりと締まりのない顔をして笑う。その笑顔に心を鷲づかみにされて、思わず“可愛い”と思ってしまう。年上の、しかも十も歳が離れた大人の男性を可愛いと思うなんて失礼極まりないけれど。
それでもやっぱり可愛くて、ふふふと笑いがこみ上げる。
愛おしい──。
そんな母性のような気持ちが自分の中に生まれてきて、彼の背中に腕を回し入れるとギュッと自分の身体へと抱き寄せた。
「葉月……」
瑞希さんは一瞬驚いたように身体を強張らせたが、でもすぐにそれを解くと私の胸でほっと息をついた。
「こうやって葉月に抱かれるのも悪くない。でも……」
そう言っていきなり顔を上げた瑞希さんはニヤリと笑い、ガバッと起き上がると私を仰向けしてその上に跨った。今までのなんとも穏やかな時間はどこへ行ったのか、馬乗りで見下ろされ嫌な予感しかしない。
「いつまでもあのままじゃ、男の沽券にかかわるからな」
「沽券……」
男のプライドを傷つけられた……そういうことなんだろうか。