かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる


「本当にごめん。お詫びに、今度『三好屋』の天丼奢るから許して?」
「わかった。特上天丼で手を打ってあげる」
 
 杏奈は膨らませていた頬をすっとすぼめ、スンとすました顔を見せた。特上天丼は懐が痛いけれど、約束を当日キャンセルするのだからこれくらいの出費は仕方ない。

「それでなに、残業は遊佐部長とふたりでって?」
 
 私には似合わない相手と言っていたくせに、肩を小突いてニヤニヤする杏奈の態度はいかがなものか。でもこのままでいくと、本当にふたりで残業になりそうだ。
 
 杏奈との話を早めに切り上げデスクに戻り、すぐにパソコンを立ち上げた。定期研修の計画を立てていたのを一旦やめて、別のフォーマットを取り出すとイーラーニングの資料作りに取り掛かる。
 
 それにしても、さっきの遊佐部長の言動はなんだったのか。
 
 女性とのうわさが絶えない人ではあるものの、実のところそんな軽い人だとは思っていない。


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