かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
見た目こそ容姿端麗とか眉目秀麗とか、見た目が優れている男性に使う言葉がピタリと当てはまるし、少し癖のある茶色がかった柔らかそうな髪は触りたくなるほど自然に目を引きつける。身長も百八十センチをゆうに超えているし、話せば人当たりもよく基本誰にでも優しい。
だから一見遊んでいる人に見えるかもしれないけれど、私はそう思っていないのだ。
遊佐部長の下で働いて一年しか経っていない。でも仕事中の真摯な姿は、彼の人となりを表している。
だからそんな彼が、まさかあんなことをするなんて思ってもみなかった。どうして頬に……。
遊佐部長に触れられた頬に、そっと手を当てる。途端にあのときの感触を思い出すと胸がざわざわして、唇をギュッと噛みしめた。
いつもと違う遊佐部長に戸惑うばかりだ。
「仕事しなくちゃ」
そう言葉にしてもなかなか手につかず、浮かぶのは遊佐部長の顔ばかりでため息が漏れた。