かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
翌日の朝。カーテンを開けると、昨日の天気予報では晴れだと言っていたのに外はどんより曇り空。今の私の心の中のように、今にも泣きだしそうな天気だ。
それでも会社を休むわけにもいかず、重い腰を上げて出勤の準備をした。
いつもよりひとつ遅い通勤電車は思っていた通り満員で、おしくらまんじゅう状態で目的の駅までグッと我慢。この電車でも出勤時間には十分間に合う。それを一本早い電車にしているのは、こうなることがわかっていたから。
それなのに今日はもうひとりの私が、『早く行きたくない』と言うことを聞いてくれなかったのだ。
なんて、昨日の瑞希さんに対する自分の態度を棚に上げて、なにをそんな自分勝手なことを言っているのか。瑞希さんと顔を合わせたくない、その時間を一分でも一秒でも少なくしたいがための手段なだけ。
あまりにも稚拙な考えに、自分でも呆れてため息しか出てこない。
今日は、どんな一日になるのだろうか……。
不安な気持ちのまま、会社へと向かった。