かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「今日は私が奢る」
そう言って杏奈と向かったのは、会社近くの人気の洋食屋さん。ランチの時間はいつも混んでいて待つのが当たり前だが、今日は少し早めにフロアを出たから待つことなく席に座ることができた。
私はハンバーグランチ、杏奈はエビフライランチをオーダー。おまけにミニパフェも付けると、杏奈は驚いたように目を丸くした。
「なに、今日の話って、そんな重要なことなの?」
「うん。こんなこと、杏奈にしか話せない」
しゅんと肩を落とし俯く。なにをどこから話せばいいのか、頭の中で一度整理した。
「杏奈、私に『それは紛れもなく恋』って言ったの覚えてる?」
「ああ、遊佐部長のことでしょ。うん、覚えてるけど、それがどうかしたの?」
「私の瑞希さんに対する気持ちは、杏奈が言う通り恋だった」
「み、瑞希さん?」
杏奈は呆けたような顔をして、私の顔をまじまじと見る。そんな彼女に苦笑しすると、瑞希さんとのこと、香野さんたちに言われたこと、そして昨日のことを話した。途中瑞希さんの顔が脳裏に浮かび、目に涙が溜まってしまう。