我が町のヒーローは、オレンジでネイビーで時々グレー
その後は、下級生から順番に消防車の見学をした。
2歳児クラスは0、1歳児の次だ。
消防車の前に三角座りをした園児たちは、この間と同じようにキラキラと目を輝かせている。
「君たちは、この間会ったから特別にいつもは見せない秘密を教えてあげよう」
隊長さんはがははっと笑うと、消防車の後ろの部分のシャッターをガラガラっと上げた。
園児たちからわぁ! と歓声があがる。
私も思わず声を出した。まさか消防車の後ろがシャッターだったなんて!
「この間、こっちのホースはお水を汲みあげるところだって言っただろう? 実は、火を消すホースはここに入っています」
そこには、なるほど外側にあるホースよりも細い、ペタンとした長いホースが巻かれている。
施設の中についている消火ホースと同じようなものだ。
「これを持って、建物の火を消します」
「ぺったんこだよ?」
男の子が質問すると、誠護さんがそのホースの先を少し出してくれる。
「見てごらん? 水が出てくるところは丸くなっているだろう?」
園児たちは立ち上がって、誠護さんの周りに集まった。
「このホースも、水が入れば丸くなるんだ」
「へえ、すごい!」
「今は出ないの?」
「今はちょっとお水出せないなあ……」
困ったように肩をすくめても、園児たちの羨望の眼差しに応える誠護さんは、やっぱり爽やかスマイルを浮かべている。
思わず見惚れてしまって、あわてて首をブンブン横に振った。
「では、次は消防車の内部の見学です」
「やったー!」
またまた園児たちの歓声があがる。
「では、順番に消防車に乗せてもらいましょう」
私は消防車の横に立ち、園児を消防車の内部に乗せる。
シートに園児が座ったら、記念撮影をして消防車を降りるのだ。
消防車の両隣には、隊長さんと誠護さん。
園児たちは思い思いのポーズを決めて、消防車内からカメラに向かってアピールをする。
「さて、君で最後かな?」
私がそっと男の子を抱き抱えて消防車から下ろすと、後ろから違う男の子に声を掛けられた。
「先生は、乗らないの?」
「え!? 先生はいいよ!」
「先生、『こんなチャンス滅多にないよ』って昨日言ってたのに、何で乗らないの?」
「え、だって先生は先生だから……」
「乗ったらいいのに。かっこいいよ、消防車」
「うん、そうだねえ、かっこいいねえ」
「でしょ?じゃあ、乗りなよ!」
消防車に乗れたことでよほどテンションが上がったのか、男の子は私に消防車への乗車をゴリ押ししてくる。
笑ってやり過ごそうとしていると、右肩をポンと叩かれた。誠護さんだ。
「お前も、乗る?」
「いや、私はいいよ!」
「先生、乗りなよ!」
「絶対、乗った方がいいよ!」
なぜかゴリ押しする園児が増える。
戸惑っていると、ふわりと体が宙に浮いた。
!?!?!?!?!?
とっさに手を伸ばし抱きついたのは、誠護さんの首元。
私は誠護さんに横抱きにされていたのだ。
「先生も乗った方がいいみたいだから」
誠護さんはそう言ってニヤリと口角をあげる。
ち、ち、ち、近い!
じんわりと熱くなる頬。
……って、なんで私、照れてるの!?
運転席に乗ってポーズをとったけれど、あの写真は絶対に見ないと心に誓った。
2歳児クラスは0、1歳児の次だ。
消防車の前に三角座りをした園児たちは、この間と同じようにキラキラと目を輝かせている。
「君たちは、この間会ったから特別にいつもは見せない秘密を教えてあげよう」
隊長さんはがははっと笑うと、消防車の後ろの部分のシャッターをガラガラっと上げた。
園児たちからわぁ! と歓声があがる。
私も思わず声を出した。まさか消防車の後ろがシャッターだったなんて!
「この間、こっちのホースはお水を汲みあげるところだって言っただろう? 実は、火を消すホースはここに入っています」
そこには、なるほど外側にあるホースよりも細い、ペタンとした長いホースが巻かれている。
施設の中についている消火ホースと同じようなものだ。
「これを持って、建物の火を消します」
「ぺったんこだよ?」
男の子が質問すると、誠護さんがそのホースの先を少し出してくれる。
「見てごらん? 水が出てくるところは丸くなっているだろう?」
園児たちは立ち上がって、誠護さんの周りに集まった。
「このホースも、水が入れば丸くなるんだ」
「へえ、すごい!」
「今は出ないの?」
「今はちょっとお水出せないなあ……」
困ったように肩をすくめても、園児たちの羨望の眼差しに応える誠護さんは、やっぱり爽やかスマイルを浮かべている。
思わず見惚れてしまって、あわてて首をブンブン横に振った。
「では、次は消防車の内部の見学です」
「やったー!」
またまた園児たちの歓声があがる。
「では、順番に消防車に乗せてもらいましょう」
私は消防車の横に立ち、園児を消防車の内部に乗せる。
シートに園児が座ったら、記念撮影をして消防車を降りるのだ。
消防車の両隣には、隊長さんと誠護さん。
園児たちは思い思いのポーズを決めて、消防車内からカメラに向かってアピールをする。
「さて、君で最後かな?」
私がそっと男の子を抱き抱えて消防車から下ろすと、後ろから違う男の子に声を掛けられた。
「先生は、乗らないの?」
「え!? 先生はいいよ!」
「先生、『こんなチャンス滅多にないよ』って昨日言ってたのに、何で乗らないの?」
「え、だって先生は先生だから……」
「乗ったらいいのに。かっこいいよ、消防車」
「うん、そうだねえ、かっこいいねえ」
「でしょ?じゃあ、乗りなよ!」
消防車に乗れたことでよほどテンションが上がったのか、男の子は私に消防車への乗車をゴリ押ししてくる。
笑ってやり過ごそうとしていると、右肩をポンと叩かれた。誠護さんだ。
「お前も、乗る?」
「いや、私はいいよ!」
「先生、乗りなよ!」
「絶対、乗った方がいいよ!」
なぜかゴリ押しする園児が増える。
戸惑っていると、ふわりと体が宙に浮いた。
!?!?!?!?!?
とっさに手を伸ばし抱きついたのは、誠護さんの首元。
私は誠護さんに横抱きにされていたのだ。
「先生も乗った方がいいみたいだから」
誠護さんはそう言ってニヤリと口角をあげる。
ち、ち、ち、近い!
じんわりと熱くなる頬。
……って、なんで私、照れてるの!?
運転席に乗ってポーズをとったけれど、あの写真は絶対に見ないと心に誓った。