幸せの探し方
彼の生まれ故郷を悪く言うつもりはないけれど、この性格だけは嫌いである。

もうどうするのよ、これ。

せっかくの初仕事がパーになったら訴えてやると思っていたら、
「ああ、もしかして名前のことですか?」
と、高天原さんは言った。

「えっ…ああ、はい…」

それに対して、わたしは首を縦に振ってうなずいた。

「よく間違えられるんですよね」

高天原さんは笑いながら言った。

「よく“ちさと”と読み間違えて僕のことを女性だと勘違いされる方がとても多いんですよ」

「それじゃあ、読み方は…」

手元にある先ほどの名刺に視線を落としたわたしに、
「高天原千里(タカマガハラセンリ)と読みます」
と、高天原さんは答えた。

「なるほど…」

「そうなんどすか…」

わたしと宇大くんは呟いた。
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