幸せの探し方
「両親曰く、生まれてくる子供が男でも女でもいいようにと言う理由でつけたそうなんですけど…結局のところは両方を考えるのが面倒くさかっただけなんだろうなって」

高天原さんはやれやれと言うように苦笑いをした。

「それはそれは…」

わたしも同じように苦笑いをした。

「ほな、僕はこれで失礼します」

宇大くんはペコリと丁寧にお辞儀をすると、その場から立ち去ったのだった。

初仕事がパーにならなくてよかったけれど…もう2度と彼にお茶くみをさせないことを、わたしは心から誓ったのだった。

「来生さんもなかなか個性的なお名前をしていますよね」

高天原さんが声をかけてきた。

「ああ、はい、そうですね…。

子供の頃のあだ名は“みかんゼリー”でした」

「みかんゼリーですか」

今となっては笑い話で済むが、子供の頃は嫌で仕方がなかった。
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