幸せの探し方
3歳の時に病気で死んだ母親が愛媛県の出身で、その名産地からわたしの名前は“蜜柑”になった。

そのせいでわたしは周りから“みかんゼリー”なんて言うあだ名で呼ばれた。

「給食のデザートでそれが出てくると、男子たちがからかってくるんですよね」

「僕は素敵だと思いますよ」

そのことを思い出して息を吐いたわたしに、高天原さんが言った。

「えっ?」

「覚えやすくてかわいらしい名前だなと、僕は思いました」

「そ、そうですか…」

名前のことをそんな風に言ってくれたのは初めてだった。

「こんなかわいらしい名前の社長さんとお仕事を一緒にしたいと思いました」

そう言った高天原さんに、
「あ、ありがとうございます…」
と、わたしはお礼を言った。

その後は名前に関するお互いの思い出やあるあるを話しあいながら、ファーストインプレッションは成功したのだった。
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