幸せの探し方
「えっ…ああ、すみません、どうぞ」

わたしは彼にトングを譲った。

彼はニヤリと口角をあげると、
「もしかして、俺に見とれていました?」
と、言ってきた。

当てられた…。

「実は…はい、そうですね…」

隠す必要はなくなったので、わたしは正直に白状した。

我ながら恥ずかしい…。

そう思っていたら、
「あなたがよろしかったら、俺と話しませんか?」
と、彼が言った。

「えっと、いいんですか…?」

それに対して聞き返したら、
「俺も少しばかり、あなたに見とれてしまいましたから」
と、彼はフフッと笑ったのだった。

そんなことを言われたのは初めてだったので驚いてしまった。

「じゃあ、お願いします…」

熱くなるその頬を感じながら、わたしは返事をした。
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