幸せの探し方
「つい最近ですか?」

「はい、先月に父親が亡くなって跡を継ぐ形で社長に就任したんです」

「ああ、なるほど」

門谷さんは首を縦に振ってうなずいた。

「門谷さんは、ご職業は?」

聞かれてばかりなので今度は自分から質問した。

「秘書をしています」

門谷さんは答えた。

「秘書ですか?」

「まあ、秘書と言っても仕事内容は事務と雑用ばかりなんですけどね」

聞き返したわたしに門谷さんは自嘲気味に笑った。

なるほど、言葉遣いや立ち振舞がとても丁寧な訳だ。

「ところでですが…」

「はい」

「来生さんはどうしてパーティーに参加されたんですか?」

門谷さんは質問すると、スパークリングワインを口に含んだ。

「わたしですか?

もうすぐで30歳になりますし、そのせいもあってか周りから結婚報告をよく聞くようになったもので」

わたしは質問に答えた。
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