幸せの探し方
…誰だ、“そうは問屋が卸さない”と言ったヤツは。

「高天原千里代表取締役社長の秘書をしております、門谷義隆と申します」

「…来生蜜柑です」

高天原さんの隣にいる秘書と名乗ったこの男は、昨日の婚活パーティーであった“女は日替わり定食”が信条のクズ男だった。

えっ、何なの?

世間は狭いって言うレベルの話じゃないでしょ。

「今回のアートイベント企画なんですけど…」

「あ、はい…」

高天原さんが仕事内容の説明を始めたので、そちらの方に集中することにした。

気にするな、わたしは断ったんだ言ったんだ。

「建物全体を迷路みたいにして…」

「なるほど…」

高天原さんの後ろに立っている門谷さんから目をそらすように、わたしは資料に視線を落とした。
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