幸せの探し方
「その相手はわたしじゃなくてもよかったんじゃないんですか?

他に相手がいるんでしたら、その人と…」

「あなたがいいんですよ、蜜柑さん」

「えっ?」

“蜜柑さん”って、わたしのことを名前で呼んだ?

「あなたとショッピングを楽しんだり、飲みに行ったり、いろんなところで遊びたいと思ったから誘ったんですよ。

セフレとは、セックスしかしませんからね」

門谷さんがわたしの顔をじっと見つめている。

落ち着け、冷静になれ。

改めて知らされた端正な顔立ちに飲み込まれそうになったが、何とかこらえる。

顔はいいけれど、中身は“女は日替わり定食”としか考えてないグズ男だ。

相手にするな、絶対に飲み込まれるな。

「何ですか、それは…」

わたしは目をそらすと、グラスに口をつけた。

グラスを持っている手が震えたような気がするのは、店内の冷房が効き過ぎているからだと言い聞かせた。
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