幸せの探し方
パンッ!

乾いた音がその場に大きく響いた。

わたしは門谷さんの頬をひっぱたいていた。

「申し訳ありませんが、門谷さんのその気持ちには答えられません」

そう言ったわたしに門谷さんは何も言わなかった。

「わかっているとは思いますが…女性の気持ちを大切にできない方とはおつきあいができませんし、おつきあいしたいとも思えません。

はっきりと言いますと、わたしはあなたのことを何も思っていません」

「…そうですか」

意外な門谷さんのその返事に、わたしは首を傾げた。

「断られるんだろうと、昨日の夜にあなたからメッセージが届いた時点で思っていました。

いや、もっと前からあなたに俺の気持ちが伝わらないことは理解していました」

門谷さんは息を吐いた。
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