公然の秘密
ーーあの子はいらないわ

ーー本家が望んでいるって言うから

やめてくれ…!

ーー旦那様と奥様、また愛人の家ですって

ーーそんなにも愛人のところがいいならどうして別れないのかしらねぇ…

ーー世間体とか経済的な理由からでしょう、そんな理由がなかったらもうとっくに離婚しているわよ

ーーでも、あの子はどうするのかしらね?

聞きたくない、聞きたくない、聞きたくない…!

ーーあの子もかわいそうよね

“かわいそう”だと言わないで欲しい。

ーー利益のために作ったのに、それが今では“いらない子”扱いされているんだから

違う、違う、違う…!

「ーー僕は“いらない子”じゃない!」

自分の叫び声に驚いて、閉じていた目を開けた。
< 116 / 211 >

この作品をシェア

pagetop