公然の秘密
「だ、大丈夫…?」

そう声をかけた柚愛に答えるように尾関は椅子から立ちあがった。

「ちょっと警察に行ってくる…。

もしかしたら夜遅くになる可能性もあるかも知れないから先に飯を食って寝てていいから…」

「うん、行ってらっしゃい…」

玄関へと足を向かわせた尾関の足取りは重くて、このまま倒れてしまうんじゃないかと思った。

「大丈夫かしら…?」

自分も一緒に行った方がよかっただろうか?

でも、却って迷惑になってしまうかも知れない。

玄関のドアが開閉する音が聞こえたので、尾関は外に出たみたいだ。

柚愛は残りの朝食を食べ終えると、後片づけをした。

洗濯や掃除をしたりと家事をして過ごしていたが、柚愛の心は落ち着かなかった。
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