公然の秘密
第7章
 * * *

「協力をすればいいんだよ」

「ーーあんた、何を言ってるの?」

まるでおかしなものを見るように、加納が弘人に視線を向けた。

「協力をするって、要するに私に犯罪の片棒を担げって言うことじゃない!

加藤木さんを誘拐しろだなんて、頭がおかしいにも程があるわ!」

加納は言い返した。

「俺はあの尾関と言う男から柚愛を奪い返したいだけなんだよ!

あいつは俺と言う存在がいながら、あの男と浮気をしていた!

結婚するとか何とか言って別れを切り出されて家も出て行った!」

そう叫ぶように言った弘人に、
「…そう言うところが嫌だったんじゃないんですか?」
と、加納は冷たい声で言った。

「はっ?」

聞き返した弘人を加納は冷たい目で見つめた。
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