公然の秘密
「あの人が“僕はいらない子じゃない！”と泣きわめいていたのは、それだったのかなって思って…」

呟くようにそう言った柚愛に、
「…そうかも知れないな」
と、尾関は言った。

「両親はもちろんのこと、周りにも“お前はいらない子”だと言われて傷ついたんだろうな。

誰からも愛されなかったうえに心ない言葉を言われて…誰かを愛する幸せも誰かに愛される喜びも知らずに、子供時代を過ごしたから…」

尾関は洟をすすった。

もしかしたら、自分と重ねているのかも知れない。

物心がついた頃から両親はいなくて、施設に預けられて育ったと言っていた。

だけど…自分を愛してれた人がいたことや自分が人を愛したことから、尾関は間違った道へと進まなかったのだろう。
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