公然の秘密
「柚愛をあきらめるどころか誘拐と言う行動にまで発展したのは、長くつきあっていたからと言うその執着からなのかもう捨てられたくないと言うその不安から行動を起こしたのかも知れないな…」

尾関は言った。

「私、加納さんのご家族にどんな顔をして謝ればいいんだろう…？

まさか、私のせいで殺されたなんてことを知ったら…」

そう言った柚愛は、今にも泣きそうだった。

「柚愛、自分を責めるな。

それに…お前は、被害者だ。

大切な家族を盾に脅されても加納はお前を守ることを選んで、田川に立ち向かった。

加納は田川の脅しに屈しなかった」

尾関は柚愛を慰めると、
「加納の家族に謝りたいと思っているんだったら、俺も一緒に謝るから…な？」
と、言った。

「うん…」

柚愛は首を縦に振ってうなずいた。
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