公然の秘密
「母親から何を言われたのかよくわからないけど、俺たちは俺たちのペースで行けばいいじゃないか。

そんな１０年以上もつきあってるから結婚なんて」

「“俺たちのペース”って何？

私はいつまで待てばいいの？

いつまで待てば、結婚するって言うの？

子供も早く欲しいって思ってるし」

「別にこのままでもいいだろ！」

弘人が怒鳴った。

「えっ…？」

何て言われたのかわからなかった。

と言うよりも、何で怒鳴られたのだろうか？

「お前さ、最近結婚結婚ってうるさいよ。

何を言われたのか何を焦ってるのかよくわからないけど、結婚とか子供っていろいろとうるさくないか？

別にこのままでもいいじゃないか。

一緒に暮らしてるだけでも悪くないじゃないか。

それなのに、結婚とか子供って何か意味あるの？」

そう言っている弘人に対し、柚愛は何も言い返せなかった。
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