公然の秘密
「で、でも、周りは結婚してる人もいるし、子供も大きい子は…」

「何にこだわってるのかよくわからないけど、俺たちには関係ないことだろ。

自分は自分、他人は他人だ」

「か、関係ないって…いずれは私たちにも深く関わってくることじゃないの!」

柚愛が言い返したら、
「別にこのままでいいだろ。

無理して結婚する必要もなければ子供を作る必要もない」

弘人はさらに言い返した。

「必要ないって…弘人はそんなことを思ってたの?

結婚したくない、子供も欲しくないって思ってたの?」

頭を鈍器で殴られたような衝撃と言うのは、まさにこう言うことを言うのだろう。

長くつきあっていた恋人がそんなことを思っていた事実に、柚愛は彼に対する自分の気持ちが冷めて行くのがわかった。
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