公然の秘密
「ごめん、訳がわからなかったね」

尾関はそう言った後で、
「俺だったら…あんたに悲しい思いをさせないし、あんたにそんな苦しい思いをさせないんだけどな」
と、言った。

「えっ…」

自分の体温があがったのかわかった。

「もし今の彼と別れようと思った時がきたら、その時は俺を選んで欲しいと思ってる。

俺だったらすぐに結婚できるし、子供だって…ダメだ、言いたいことが全然まとまらない」

尾関はガシガシと頭をかいた。

「まあ、カケラすらも結婚のことを考えていないそんなヤツにこだわる必要なんてないんじゃないかって言うことだ。

理由すらもないそんなヤツのことなんか見限って、俺を選んでもいいんじゃないかって言うことだ」

やっとまとまったと、尾関は呟いた。
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