公然の秘密
ーー俺だったら…あんたに悲しい思いをさせないし、あんたにそんな苦しい思いをさせないんだけどな

尾関のどこか切なさそうな顔も浮かんできたので、それを消すように柚愛は首を横に振った。

「お、尾関さんは決めるのは私だって言ってたし…。

提案を出してくれただけだし…だから、だから…」

胸が締めつけられて、心が揺れているのがわかった。

(尾関さんは提案を出しただけなんだから…。

尾関さんだって、そんなつもりで言った訳じゃないんだし…)

いつの間にか手が止まっていたことに気づいて、柚愛は手を動かして残りの洗濯物を干した。

「もう1度…もう1度だけ、弘人とちゃんと話をしよう。

この間はお母さんに小言を言われてムカついてたから、それでまともに話ができなかったようなものだし…」

柚愛は決意をすると、首を縦に振ってうなずいた。
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