公然の秘密
「食え」

尾関に言われたので、
「ありがとうございます…」

柚愛は彼から紅しょうがの串カツを受け取った。

「あんた、泣きそうになってたぞ」

尾関に言われて、柚愛は目に手を当てた。

「美味いもんでも食って元気を出せ」

「…ありがとうございます」

柚愛は紅しょうがの串カツをかじった。

少しだけ冷めていたけれど、美味しいことには代わりはなかった。

「もう潮時なのかな…って思いますね。

お互いのためにも今後の話しあいがしたいだけなのに、避けられているせいで全くできなくて…」

柚愛は言った。

「別れたいなら別れたいって、はっきりと言えばいいのにな」

「ホント、そうですよね…」

柚愛が返事をしたのと同時に、先ほど注文したポテトサラダと塩だれきゅうりがきた。
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