公然の秘密

「あんたが寝た頃に帰ってくるって言うなら…寝ずに待って、そこへ例の彼が帰ってきたら話しあいをするって言うのはどうだ？」

「えっ、いきなり過ぎませんか？」

尾関の提案に柚愛は驚いて聞き返した。

「だって、そうでもしなきゃ無理だろうよ。

いきなりじゃないと絶対につかまらないと、俺は思うぞ。

あんたは今後のためにも、例の彼とちゃんと話しあいがしたんだろ？」

「はい」

「じゃあ、それぐらいのことをしないと…」

「待って…」

柚愛が静かにと言うように人差し指を唇に当てたので尾関は口を閉じた。

弘人と同僚らしき男が店にきたのだ。

「えっ…もしかして、あれが例の…？」

彼らの姿に小声で問いかけた尾関に、柚愛は首を縦に振ってうなずいた。