公然の秘密
その夜。

「ただいまー」

8時を過ぎた頃に弘人が帰ってきた。

「お帰りなさい」

玄関にきた柚愛は弘人の手からカバンを受け取った。

「先にお風呂にする?」

「うん、そうする」

そう返事をすると、弘人はバスルームへと足を向かわせた。

「おっ、美味しそうだな」

お風呂を済ませてスウェットに着替えた弘人が食卓に現れた。

今日の夕飯はよだれ鶏だ。

ご飯と豚汁をテーブルのうえに置くと、
「いただきまーす」

食事を始めた。

「ねえ、弘人」

「んー?」

「国崎さんって覚えてる?」

「ああ、大学のゼミで一緒だったあの子だろう?」

弘人はそう返事をすると、豚汁をすすった。

「今日の昼に国崎さんのSNSを覗いたら子供を出産したって言う報告があって…」

そこまで言うと、柚愛はチラリと弘人を見つめた。
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